2006年に会社法が改正され、新たに「合同会社」が誕生しました。現在、日本では会社の形態として、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4形態があります。今回は4形態のうち「株式会社」と「合同会社」のそれぞれのメリット・デメリットを詳しく紹介します。
株式会社とは？
株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる「会社」の代表的な形態です。
株式会社は出資者と経営者が別人でも大丈夫ですが、経営者が自ら出資する事もできます。株式会社は利益を上げる事を目的に、株主から資本を集める仕組みとなっていて、株主から経営を委託された人の事を「取締役」といい、取締役は集めた資本を増やして会社の価値を上げていく責任を負います。株式会社は資本と経営が分離しているので、株主は「有限責任」のみを負うことになります。
株式会社のメリット
社会的信用度が高い
株式会社は合同会社に比べて社会的に認知度が高く、信用度も高いと言えます。この場合の信用度とは主に取引先からの信用度です。会社設立するきっかけとして「取引先より会社を作るよう言われた」ということがありますが、この場合には信用度アップのために株式会社の設立をお勧めいたします。
資金調達方法の選択肢が広い
合同会社と比較して、大きなメリットは資金調達方法の選択肢が広い事です。新株発行など株式を利用した資金調達の方法があります。株式会社だけが行える資金調達方法としては「出資」という方法もあります。
株式会社のデメリット
設立費用が高い
株式会社のデメリットとしては設立費用が合同会社よりも高額になる事です。株式会社の設立費用は、一般的に25万円～30万円ほどかかります。
役員の任期がある
合同会社の出資者（社員）には任期がありません。株式会社の取締役の任期は、株式の譲渡制限がある場合は最大で10年、譲渡制限がない場合には2年の任期です。監査役の任期は、株式の譲渡制限がある場合には最大で10年、譲渡制限がない場合には4年の任期です。
合同会社とは？
合同会社は、2006年の会社法施行により新たに作られた法人形態で、「合資会社」「合名会社」と並ぶ会社形態の一つです。
合同会社は、出資者と経営者が分離していない形の法人であるため、経営者は必ず出資者でなくてはなりません。
税制面では、合同会社も株式会社と同様に優遇税制を受けることができます。
合同会社のメリット
設立費用が安い
設立時に必要な費用が最低6万円～と株式会社に比べて少額で済みます。さらに、定款の認証を必要とせず、株式会社と比較して手続きが簡単に済みます。
ランニングコストを抑えることができる
法人を存続させるために必要な最低限のコストのことです。このランニングコストは合同会社の方が安く済みます。
合同会社は、役員の任期の制限がなく、役員変更の手続が不要であるため、役員改選による登記費用等のランニングコストもかかりません。
また、株式総会も開く必要性がなく、決算書の広告義務もありません。
合同会社のデメリット
株式会社に比べて認知度が低い
最近は合同会社も増えてきていますが、まだ新しい会社形態であるため知らない人も多く、社会的なイメージはまだ株式会社の方が良いようです。
合同会社の代表者を定めた場合の肩書は「代表社員」ですが、「代表取締役」に比べると認知度はまだまだありません。
上場できない
株式会社は上場して事業拡大を目指すことができますが、合同会社の場合は上場できません。将来、上場を考えているのであれば株式会社を選んでおくことをおすすめします。
株式会社と合同会社の違いまとめ
| 株式会社 | 合同会社 | |
| 所有と経営 | 原則完全分離 | 原則同一 |
| 出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
| 代表者名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
| 定款 | 認証必要 | 認証不要 |
| 設立費用 | 25万～30万円 | 6万円～ |
| 上場 | できる | できない |
| 認知度 | 高い | 低い |
まとめ
合同会社・株式会社を選択するにあたっては、事業規模、資金繰り、将来性など様々な面を考慮した上で選択する必要があります。
「とにかく費用を押さえて設立したい」「規模を大きくせず営み続けたい」という場合には、合同会社はオススメです。
もし、上記のような理由がない場合や、ゆくゆくは規模を大きくしていきたいと考えている場合は、私は株式会社の設立をオススメしています。
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