「税理士って何をどこまで頼めるの?」「顧問契約を結んだらどんな支援を受けられる?」
こうした疑問をお持ちの経営者の方は多いのではないでしょうか。特に、売上5,000万円以下の中小法人にとっては、外部の専門家との関わり方が経営の質を大きく左右します。
今回は、税務顧問サービスを活用することで、どのように経営の強化につなげられるかを、法人経営者の視点からわかりやすく解説します。
■ 税務顧問サービスとは?
税務顧問とは、税理士と継続的な契約を結び、日常的な税務相談から決算対応、資金繰りのアドバイスまでを総合的に支援してもらうサービスです。単なる「帳簿のチェック役」ではなく、企業の成長戦略を支える伴走者といっても過言ではありません。
ここでは、税務顧問サービスを経営にどう活かせるのか、具体的な4つの方法をご紹介します。
■ 活用法1:経営会議への参加で戦略と財務を一体化
顧問税理士に経営会議へ参加してもらうことで、会議の質が大きく向上します。たとえば、事業計画と実績のズレを数字ベースで把握したり、資金繰りの悪化兆候を早期にキャッチしたりと、実務に直結するアドバイスを受けることができます。
経営者自身が漠然と抱えていた不安や課題が、「財務」という切り口で明確になるのは大きなメリットです。会議の議論も数字に基づいた現実的なものとなり、戦略の実効性が格段に高まります。
■ 活用法2:補助金・助成金の情報をタイムリーに取得
「知らなかった」ではもったいないのが、補助金・助成金制度です。国や自治体は、中小企業支援を目的に多くの制度を用意していますが、募集期間が短く、情報をキャッチできるかどうかが申請の成否を分けます。
税理士はこうした情報に日々アンテナを張っているため、顧問契約を結んでいれば、制度の情報をいち早く入手し、申請書の作成サポートまで受けられます。実際に顧問税理士の助言で100万円以上の補助金を獲得できた例もあります。
資金繰りの面で余裕ができると、次の投資にも前向きになれます。こうしたサポートが税理士に頼めるというのは、経営者にとって大きな安心材料です。
■ 活用法3:融資に強い決算書づくりで資金調達を有利に
金融機関との交渉では、決算書の信頼性が重要な判断材料となります。税務顧問として関与している税理士が整備した決算書は、正確性・透明性が高く、金融機関側の評価も良好です。
また、事前に財務分析を受けることで、自社の財務上の弱点(例:自己資本比率の低さ、キャッシュフローの悪化など)を明らかにし、改善に向けた具体策も提示してもらえます。融資申請の成功率を高めるだけでなく、社内の財務体質改善にもつながるという点で、非常に価値の高い支援といえるでしょう。
■ 活用法4:事業承継・法人再編の戦略立案に心強いパートナー
会社の未来を考えるうえで避けて通れないのが、事業承継や法人再編の問題です。こうした局面では、税務の知識と経験に基づいた戦略立案が不可欠です。
顧問税理士であれば、自社の実情やオーナー家の事情を理解したうえで、節税対策やスムーズな承継の方法について提案してくれます。相続税や贈与税、組織再編時の税務処理に関するアドバイスが得られるため、法的・税務的なリスクも最小限に抑えることができます。
「いつか考えなければ」と後回しにしがちな承継問題も、顧問税理士と一緒に計画的に進めることで、余裕をもった対応が可能になります。
■ まとめ:税理士は“外部の経理担当”ではなく“経営パートナー”
税務顧問サービスは、単なる申告や記帳代行だけでなく、企業経営に直結する多角的な支援を提供するものです。特に、売上5,000万円前後の中小法人にとっては、組織内にCFOを置けない代わりに、外部の専門家の知見をうまく取り入れることが重要です。
「数字に強い右腕」として税理士を活用すれば、経営判断の精度は確実に上がります。顧問契約を「コスト」と捉えるのではなく、「未来への投資」として前向きに活用してみてはいかがでしょうか。