
この記事は、個人事業主として事業を営んでいる方や、これから独立を考えている方に向けて税務調査が入った際に税理士へ依頼する場合の費用や、依頼するメリット・デメリット、費用を抑えるポイントなど、実際に役立つ情報を経験豊富な税理士の北村嘉章税理士(北村税理士事務所)が詳しく解説しています。
税務調査に不安を感じている方や、税理士への依頼を検討している方が納得できる判断材料を得られる内容です。
目次
個人事業主と税務調査の基礎知識
個人事業主として事業を行っていると、税務署から税務調査が入る可能性があります。税務調査は、申告内容に誤りや不正がないかを確認するために行われるもので、事業規模や業種に関わらず誰にでも起こり得るものです。
税務調査の流れや基本的な知識を押さえておくことで、いざという時に慌てずに対応できるようになります。更に、税理士に依頼するかどうかの判断にも役立つため、まずは基礎知識をしっかり身につけましょう。
個人事業主に税務調査が来る理由と頻度
個人事業主に税務調査が入る主な理由は、申告内容に不自然な点が見られたり、売上や経費の計上に疑問が生じた場合です。また、同業他社と比べて利益率が極端に高い・低い場合や、過去に修正申告や指摘があった場合も調査対象となりやすい傾向があります。
税務調査の頻度は、個人事業主全体で年間1.5~2.5%程度とされていますが、業種や事業規模によっても異なります。その為、日頃から正確な帳簿付けを心がけることが重要です。
税務署が調査対象を選ぶポイントと業種ごとの傾向
税務署が調査対象を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。例えば、売上や経費の急激な増減、同業他社との比較、過去の調査履歴などが重視されます。
また、現金商売が多い飲食業や小売業、建設業などは、帳簿外の取引が発生しやすいため調査対象になりやすい傾向があります。一方で、IT業やコンサル業などは比較的調査頻度が低いものの、売上の急増や経費の大幅な増加があると注意が必要です。
税務調査に税理士へ依頼するべきケース
税務調査が入った際、すべてを自分で対応するのは大きな負担となります。特に、税務署からの指摘内容が複雑だったり、過去の申告に不安がある場合は、税理士に依頼することでリスクを大幅に軽減できます。
また、調査当日の立会いや書類作成、税務署との交渉など、専門的な対応が求められる場面では、税理士のサポートが非常に有効です。
どのようなケースで税理士に依頼すべきか、具体的に見ていきましょう。
税理士に立会い・業務を任せるメリット
税務調査に税理士が立ち会うことで、専門的な知識を活かした対応が可能となり、税務署とのやり取りもスムーズに進みます。税理士は調査官の質問に的確に答えたり、必要な書類を迅速に用意したりすることで、調査期間の短縮や指摘事項の最小化に貢献します。
また、税理士が間に入ることで、精神的なプレッシャーや不安も大きく軽減されます。
結果として、税理士に依頼することで余計な追徴課税やペナルティを回避できる可能性が高まります!
個人事業主が税務調査で陥りやすい悩みとリスク
個人事業主が税務調査で直面しやすい悩みには、調査官の質問にうまく答えられない、書類の不備や紛失、過去の申告内容に自信が持てないなどがあります。
また、調査対応に多くの時間を取られ、本業に支障が出るケースも少なくありません。最悪の場合、意図しないミスが重大な指摘や追徴課税につながるリスクもあります。
こうしたリスクを回避するためにも、必要に応じて税理士のサポートを検討しましょう。
税務調査を税理士に任せる費用と相場
税務調査を税理士に依頼する場合、費用は依頼内容や契約形態によって大きく異なります。一般的には、顧問契約を結んでいる場合と、スポット(単発)で依頼する場合で料金体系が異なります。
また、調査の立会いだけでなく、書類作成や税務署との交渉まで任せる場合は、費用が高くなる傾向があります。
ここでは、税理士費用の相場や請求の仕組みについて詳しく解説します。
税理士報酬と請求の仕組み(顧問契約・スポット対応)
税理士への報酬は、月額の顧問契約と、税務調査時のみのスポット対応で大きく異なります。顧問契約の場合は、月額1万円~3万円程度が相場で、税務調査対応も契約内容に含まれることがあります。
一方、スポット対応の場合は、調査立会い1日あたり3万~5万円、全体で30万~70万円程度が一般的な相場です。請求方法は、調査終了後に一括請求されるケースが多いです。
| 契約形態 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 顧問契約 | 月額1万~3万円 | 継続的なサポート |
| スポット対応 | 1日3万~5万円、総額30万~70万円 | 単発・調査時のみ |
丸投げ費用・立会い費用の目安と範囲
税務調査を税理士に丸投げする場合、書類準備から調査立会い、税務署との交渉まで一括で依頼できます。この場合の費用は、30万円~70万円程度が目安です。
立会いのみを依頼する場合は、1日あたり3万~5万円が相場で、調査が2日間に及ぶ場合はその分費用が加算されます。また、追加で修正申告や税務書類作成が必要な場合は、別途費用が発生することもあります。
整理すると以下のような金額感相場となります。
- 丸投げ:30万~70万円
- 立会いのみ:1日3万~5万円
- 追加業務は別途費用
経費化・資金繰りを踏まえた予算の立て方
税理士費用は、事業経費として計上できるため、実質的な負担を軽減できます。ただし、調査対応のために一時的にまとまった資金が必要となるため、事前に資金繰りを確認しておくことが大切です。
また、費用の見積もりを複数の税理士事務所から取り、内容や範囲を比較検討することで、無理のない予算を立てることができます。経費化のタイミングや支払い方法も事前に確認しておきましょう。
税理士に依頼する場合の具体的な流れ

税務調査で税理士に依頼する場合、まずは事前相談や見積もり依頼から始まります。その後、正式な契約を結び、面談や事前準備を進めていきます。
調査当日は税理士が立ち会い、調査後のフォローや修正申告まで一貫してサポートしてもらうことが可能です。スムーズな連携のためには、事前の打ち合わせやコミュニケーションが重要となります。
税理士との契約~面談・事前準備のポイント
税理士に依頼する際は、まず見積もりや業務範囲の確認を行い、納得した上で契約を結びます。契約後は、面談を通じて調査の経緯や不安点、過去の申告内容などを詳しく共有しましょう。
また、帳簿や領収書、通帳など必要書類を事前に整理し、税理士に提出できるよう準備しておくことが大切です。事前準備がしっかりできていれば、調査当日もスムーズに対応できます。
税理士とのコミュニケーション・連携方法
税理士との連携を円滑に進めるためには、定期的な連絡や情報共有が欠かせません。メールや電話、オンラインミーティングなど、双方が使いやすい方法でコミュニケーションを取りましょう。
コロナ過以降はオンラインでの対応が出来る税理士も増えて来ている為、税理士の場所に関わらず相談することが可能です。
疑問点や不安があれば早めに相談し、調査当日までに解消しておくことが重要です。また、調査後のフォローや修正申告が必要な場合も、継続的に連絡を取り合うことでトラブルを防げます。
税理士事務所選び方と相性チェックのコツ
税理士事務所を選ぶ際は、費用だけでなく、対応の丁寧さや専門性、実績なども重視しましょう。初回相談時の対応や説明の分かりやすさ、質問へのレスポンスの速さなども相性を見極めるポイントです。
また、同じ業種の調査対応経験が豊富な税理士を選ぶと、より安心して任せられます。複数の事務所で比較検討し、自分に合った税理士を見つけましょう。
税務調査で税理士に依頼するメリットとデメリット徹底比較
税務調査を税理士に依頼することで得られるメリットは多いですが、コストや時間などのデメリットも存在します。ここでは、実際のサポート事例や本業への集中、不安解消の理由、そして費用面の注意点などを比較し、依頼判断の参考になる情報をまとめます。
自分にとって最適な選択肢を見極めるために、メリット・デメリットをしっかり把握しましょう。
肝心なポイントとしては税理士費用は「コスト」ではなく、「リスクを回避するための投資」ということです。
節税や修正申告・税務書類作成のサポート事例
税理士は、税務調査時に節税のアドバイスや、必要に応じた修正申告のサポート、複雑な税務書類の作成まで幅広く対応してくれます。
例えば、経費計上の見直しや、過去の申告ミスの是正、調査官への説明資料の作成など、専門家ならではの視点でサポートが受けられます。これにより、余計な追徴課税を防ぎ、適正な納税で済むケースも多いです。
税理士に相談する事で以下のようなメリットがあります。
- 節税アドバイス
- 修正申告のサポート
- 税務書類の作成・説明資料の準備
- 追徴課税リスクの低減
専門家に任せて本業集中・不安解消できる理由
税務調査対応を税理士に任せることで、個人事業主は本業に集中できる環境が整います。調査対応のストレスや不安から解放され、精神的な負担も大きく軽減されます。
また、税理士が調査官とのやり取りを代行してくれるため、専門的な知識がなくても安心して任せられます。
結果的に事業の成長や顧客対応に専念できるメリットがあります。
コスト・時間・報酬などデメリットと注意点
税理士に依頼する最大のデメリットは、やはり費用がかかる点です。また、依頼内容によっては追加費用が発生する場合もあり、予算オーバーになることもあります。
さらに、税理士との連携や書類準備に時間がかかることもあるため、早めの準備が必要です。費用対効果や自分の状況をよく考えた上で、依頼するかどうかを判断しましょう。
税理士費用を抑える具体的な方法とポイント
税理士費用をできるだけ抑えたい場合は、依頼内容や契約形態を工夫することがポイントです。スポット依頼と顧問契約の使い分けや、記帳・会計業務の効率化、オンラインサービスの活用など、コスト削減につながる具体策を紹介します。
無理なく専門家のサポートを受けるための工夫を押さえておきましょう。
スポット依頼と顧問契約の使い分け
税理士への依頼方法には、スポット依頼と顧問契約の2種類があります。税務調査の時だけサポートが必要な場合は、スポット依頼を選ぶことで費用を抑えられます。
一方、日常的な税務相談や記帳代行も必要な場合は、月額の顧問契約が安心です。自分の事業規模や必要なサポート範囲に応じて、最適な契約形態を選びましょう。
また、スポット依頼でも事前に見積もりを取り、追加費用の有無を確認することが大切です。
| 依頼方法 | 特徴 | 費用相場 |
|---|---|---|
| スポット依頼 | 必要な時だけ依頼 | 1回数万円~数十万円 |
| 顧問契約 | 継続的なサポート | 月額1万~3万円 |
記帳・会計業務を最小限にするための対策
税理士費用を抑えるには、日頃から記帳や会計業務を自分でしっかり行い、税理士に依頼する業務範囲を最小限にすることが有効です。
領収書や請求書の整理、会計ソフトの活用などで、帳簿を正確に管理しておくと、税理士の作業負担が減り、費用も抑えられます。
また、定期的に自分で帳簿を見直し、ミスや漏れがないかチェックする習慣をつけましょう。
オンライン・自動会計システムの活用による費用削減
近年は、クラウド会計ソフトや自動会計システムの普及により、記帳や経理作業の効率化が進んでいます。これらのツールを活用することで、税理士に依頼する作業量が減り、費用削減につながります。
また、オンラインでのデータ共有や相談も可能なため、遠方の税理士ともスムーズに連携できます。初期投資は必要ですが、長期的にはコストパフォーマンスが高くなります。
個人事業主が税務調査で納得できる結果を得るには
税務調査の通知が来た際、個人事業主が自力で対応するのは非常に困難であり、リスクが高い選択です。
税理士費用は、追徴課税やペナルティという「より大きな損失」を防ぐための保険であり、全額経費にも計上できます。日頃から正確な帳簿管理を徹底し、万が一の際は迷わず税理士に相談することが、あなたの事業と財産を守るための最善策です。
北村税理士事務所では初回無料の相談(オンラインも可能)も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール

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所属:四国税理士会丸亀支部 税理士登録番号137832
肩書:
北村嘉章税理士事務所 代表税理士
合同会社 N village consulting 代表社員
穴吹カレッジ「香川県留学生支援会」 監事
家族:妻と長女と長男の4人家族
職歴:日亜化学工業株式会社(青色発光ダイオード)特許部
大手税理士法人である税理士法人ゆびすいで税理士登録
税理士業界での経験年数は10年
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