皆さんは「法務局」をご存知でしょうか
法務局には、国籍や供託手続きなどいろいろな役割がありますが、その中でも一番利用するシーンが多いのが登記申請や謄本の取得ではないかと思います。
この記事では法務局の概要からその利用の仕方、登記申請時の注意点について解説いたします。
「法務局」とは
「法務局」とは、法務省の地方支分部局の一つで、登記所などとも呼ばれます。
法務局では、法人・不動産に関する登記手続きの他、帰化申請などの国籍や、「登記されていないことの証明書」などといった身分証明に関する手続、供託手続きなどを行っています。
法務局への会社設立の申請手続き
会社設立登記の申請方法
会社を設立する際には、「会社設立登記申請書」を所定の管轄の法務局へ提出する必要があります。
現在、設立できる会社には特別のものを除き、株式・合同・合名・合資会社という4つの種別がありますが、いずれについても登記をすることがその成立要件となります。
つまり、会社は法務局で登記をすることにより、はじめて存在することができるということになります。
会社の設立登記申請は、登記申請書に定款・代表者の印鑑証明・各種議事録等を一緒にまとめ、必要な額の収入印紙を貼って管轄の法務局へ提出することで行います。
申請書の提出は、以前は直接の持ち込み方法しか認められていませんでしたが、 現在では郵送やオンラインでの申請も可能となっています。
ただし、オンライン申請については、そのための準備や費用がかかるため、詳細については割愛します。
法務局の管轄
法務局にはそれぞれ管轄が定められており、会社設立登記申請の場合はその本店所在地を管轄する法務局に申請書を提出します。
なお、この法務局の管轄を間違えてしまうと、申請が却下されてしまうため、管轄違いがないようにあらかじめ確認してください。
会社の設立登記申請ができるもの
会社の設立登記申請は、その法人の代表者または代理人がこれを行うことができます。
会社の場合その従業員が代理人となることはできますが、業として会社の設立登記の申請や提出の代理をすることができるのは、弁護士と司法書士だけとなっています。
行政書士には一部の書類の作成権限はありますが、登記申請書の作成や提出の代理をすることは認められていません。
法務局への登記申請と処理方法
法務局への登記申請の手続きは、以下の手順で行います。
① 管轄の法務局へ登記申請書を提出
会社設立登記申請書の作成ができたら、これを管轄の法務局へ持ち込むか、または、郵送により申請をします。
法務局へ持ち込む場合には、「法人登記係」という担当箇所に登記申請の受付箱がありますので、こちらに提出します。
なお、法人登記係では、登記の申請前に相談を受けることができるので、申請内容に不安がある場合には、事前に確認を受けた方がよいでしょう。
郵送により申請をする場合には、その法務局の法人登記係宛に「登記申請書在中」と朱色で記載し送付します。郵送は、万が一のことを考え、書留で送ったほうがベターです。
② 登記完了予定日の確認
登記の申請はその提出をした日に応じて、「登記完了予定日」が決められています。
この日付は登記申請受付箱の付近に表示されているので、提出の際にはこの日付を書き留めておくようにします。
しかし、郵送の場合にはこの日付はわからないため、これを知りたい場合には法務局へ電話などで確認してください。
登記完了予定日には会社の登記簿謄本が取得できるようになるため、これにより登記が完了したことがわかります。
しかし、この日になっても謄本が取得できない場合には、内容に何らかの不備があることになるため、その場合には係員の指示に従って書類の補正手続きを行ってください。
また、たいていの法務局では、補正が必要な場合には申請者本人またはその代理人に連絡が来るようになっていますので、登記申請書の余白にはそのための連絡先番号を記載しておくのが一般的です。
補正があった場合にはその登記申請の受付年月日と受付番号が知らされます。
これらは法務局の窓口で補正手続きをする場合に必要となるので、控えておくようにしましょう。
なお、登記の申請は郵送でも行うことができますが、補正の手続きは郵送や電話、メールなどで行うことができないため、その場合には法務局へ直接に出向いてこれを行う必要があります。
③ 登記完了後の謄本や印鑑証明書の取得
登記申請の内容に間違いがなければ、登記完了予定日には手続きが完了し、会社の登記簿謄本や印鑑証明書を取得することができるようになります。
また、提出時に切手を貼った返信用封筒を登記申請書につけておけば、登記完了後に会社の登記簿謄本を郵送してもらうことができます。
会社設立後の登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法
登記手続きの完了後は、会社の登記簿謄本を取得することができるようになります。
以前は謄本の取得は、その登記を提出した法務局でしかできませんでしたが、現在ではオンライン化が進んだことから、どこの法務局からでも会社の謄本を取得することができるようになっています。
会社登記簿謄本の取得をする場合には、「登記事項証明書」 の請求書に必要事項を記載し、これを謄本担当の窓口に提出または郵送します。
この登記事項証明書の取得には、窓口または郵送による請求の場合には1通 600円の費用がかかりますが、オンライン申請の場合は 100円程度安くなります。
なお、許認可や届出などで会社登記簿謄本が必要となる場合、その有効期間は3~6ヶ月となっていることがほとんどのため、使用の際にはこの期間が残っていることを確認してください。
ただし、この期間内の謄本であっても、登記事項に変更を生じている場合には、変更手続きをした後の謄本が有効となります。
まとめ
会社はその種類を問わず法務局で設立登記申請をし、その登記が完了することにより、はじめて成立することになります。
したがって、定款を作成しただけや、登記申請書を提出しただけでは、成立したものとは認められません。必ず会社の登記簿謄本が作成されていることを確認してください。 なお、登記の申請は、申請書を法務局の受付箱に提出する、または郵送で送付するという簡単な手続きで行うことができますが、補正手続きが必要な場合には法務局に出向いてこれを行わなければならないことに注意してください。
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