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日本政策金融公庫で追加融資を受けることは可能?2・3回目の融資の審査ポイントを解説!

最近、コロナの影響による売上げの減少は回復してきたものの、ソ連・ウクライナ間の戦争による物価高などにより経営が厳しいという企業が増えています。
そのような場合に頼りになるのか銀行からの資金調達ですが、追加融資を受けるには「どんな点に注意すればよいのだろうか?」、「銀行はどのように審査をしているのだろうか?」などと不安に思う点も少なくないと思います。
とくに最近では、追加の融資を受けることが難しくなりつつあるため、しっかりとした戦略を持って臨まないと希望する額の融資を受けることが厳しいといえます。
この記事では、追加融資の特徴や金融機関の考え方、審査のポイントなどについて解説いたします。
目次
追加融資とは?初回の融資とは違いや特徴は?
追加融資は初回時の融資と同じように審査にもとづいてその可否が決定されますが、その手続きには異なる部分もあるので、その特徴を理解しておく必要があります。
追加融資とは?初回融資の違いは?
追加融資とは、すでに融資の借入れをしている企業が、同じ金融機関から追加で融資を受けることをいいます。
追加融資の場合も初回の融資と同様に金融機関の審査を受ける必要がありますが、基本的な企業の情報の確認は初回の融資時に完了しているため、初回融資の時よりも簡単な手続きで済むことが多いといえます。
ただし、追加融資の場合も初回時と同様の審査を行うため、追加融資の時の方が簡単になるということはありません。
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追加融資を利用するメリット・デメリット
追加で融資を受けるメリットとしては以下のものがあります。
【メリット】
- 基本的な調査が省略でき、また、担当者がその企業の実情を知っているため、審査が早くなりやすい。
- 追加融資によりより多額の取引をすることができるため、金融機関とのパイプが太くなる。
- 融資の借入れ、返済を継続することで信用力を増やすことができる。
【デメリット】
- 一行のみで追加融資を受けていると、取引の幅が狭くなる。また、金利等の条件について他行と競合をさせる機会が失われる。
- 企業の経営内容をすべて把握されてしまう可能性がある。
- いざという気に、他の金融機関の融資を機動的に利用できなくなる可能性がある。
特定の金融機関のみから追加融資を受ける場合には、このようなメリットがある反面、デメリットもあるため慎重に検討すべきといえます。
追加融資の判断で金融機関が見ているポイント
金融機関は審査を通じて、一定の基準の企業に対して融資を行いますが、その際には次のような点を重視して判断しています。
追加融資を利用するうえで必要な資料とは?
追加融資の申込みをする際には、以下のような資料が必要となります。
- 借入申込証
- 代表者の身分証明書(写真付き)
- 申込人が法人の場合には登記事項証明書
- 設備資金の申込みの場合には、その設備の見積書
- 法人については決算書2期分(別表や勘定科目明細書を含む)
個人事業については、
- 確定申告書
- 納税証明書
- 決算日から6ヶ月以上経過している場合には、試算表
※ 以下は必要に応じて求められるもの
- 資金繰り表
- キャッシュフロー計算書
- 資金繰り表
- 金融機関取引一覧表
- 担保の対象となる土地、建物の登記事項証明書や公図
貸借対照表について
金融機関では必ず貸借対照表と損苑計算書を確認して融資の判断を行いますが、貸借対照表については以下の点を重点的にチェックします。
- 現金や預金は前期より増えているか?
- 商品の中に販売できないものや、流行遅れとなっているものが混ざっていないか?
- 有価証券は時価評価されているか?
- 売掛金は増えすぎていないか?また、入金条件の変更やサイト(期間)の変更がないか?
- 売掛金に回収できないものが含まれていないか?
- 会社から代表者への貸し付けがないか?
- 借入金の額は増えていないか?
- 買掛金は増えていないか?また、支払条件の変更やサイトの変更がないか?
- 資本金や利益剰余金は増えているか?減っているか?
- 資本金の欠損や債務超過を生じていないか?
損益計算書について
- 売上げは増えているか?減っているか?
- 原価率は増えているか?減っているか?
- 販管費は増えているか?減っているか?また、その中に不要な物が入っていないか?
- 利息の支払い額は増えていないか?
- 減価償却は適正に行われているか?
- 経常利益や当期純利益は増えているか?
- 税引後利益と減価償却額の合計額が返済額を賄えているか?
その他について
- 決算書は法定期限内(決算後2ヶ月以内)に提出されているか?
- 申告内容が修正申告となっていないか?
- 本店の住所や代表者、株主構成に変更はないか?
- 取引金融機関の状況や預金、融資残高に大きな変更がないか?
- 当面の資金繰りに問題はないか?
- 事業内容や計画に大きな変更はないか?
なお、金融機関ではこれらの資料の中でもとくに貸借対照表を重視しています。
提出された貸借対照表の内容を上記基準に当てはめて査定するので、表面的な貸借対照表上では優良に見える場合でも、査定の結果では債務超過と判断されていることも少なくありません。
そのため経営者自身がこのこと知らないと、「内容的には問題がないのに、なぜ追加融資が受けられないのか?」ということになります。
また、金融機関では各種の数値にもとづき財務内容を分析して追加融資ができるかどうかを判断しますが、その分析の際も実態的に修正された数値にもとづいてこれを行っています。
したがって、決算書はそのまま表面的な数字だけを見るのではなく、実体的な内容がどうなっているのかということを理解して計画を立てる必要があります。
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これがあると追加融資は受けられない
企業に次のいずれかの事由がある場合には、追加融資を受けるのが難しくなります。
したがって、これらの事由に該当する場合には、まずはそれを解決してうえで追加融資を申し込むということがポイントとなります。
十分に返済が進んでいない
金融機関が追加融資を検討する際には、既存の融資の返済がどの程度まで進んでいるのかをチェックします。
返済がどこまで進んでいればOKかについては、金融機関により差がありますが、最低でも既存融資の30%以上の返済ができていることが必要とされています。
また、この30%については、対象となる融資の30%なのか、それも現在利用している融資額全体の30%なのかは金融機関により異なりますが、一般的には対象の融資の30%以上の返済ができていれば認めてもらいやすいといえます。
しかし、返済がこの割合に満たない場合には、追加融資を受けるのは難しくなります。
借入れの本数が多い
融資の借入れ本数が多い場合には、1本あたりの返済額が少なくなりやすくなるため、金融機関が追加融資を認める目安としている「1/3程度の返済ができていること」をクリアーすることが難しくなります。
また、複数の融資を利用している場合には、その企業の融資与信枠が少なくなっているケースが多く、そのような場合には金融機関では「まずは、もっと本数を減らしてから検討したい」という考えになりやすいといえます。
なお、融資の与信枠とは、金融機関が企業の実績や信用力に応じて個別に設定している「ここまでは融資できる」という融資枠の上限であり、融資制度における融資限度額とは異なります。
そのため、仮に制度上の融資の限度額が1億円となっている場合でも、その企業の与信額が5,000万円と設定されている場合には、5,000万円までの借入れしかできないこととなります。
したがって、普段から融資の借り入れをする際には、むやみに新規で本数を増やすのではなく、既存の融資を一本化して本数を増やさずに借入れができないかを考えることも必要となります。
資金使途や返済の財源があいまい
「融資を事業のどのようなことに利用するのか(資金使途)」と、「どのような財源で返済をするのか(返済財源)」は、追加融資を受けるための重要なポイントとなります。
なぜ、資金使途が重要なのかといえば、その使い方によっては返済ができない可能性があるからです。
例えば、融資を自分の個人的な消費行為に使うなどがその代表的なものとなりますが、たとえ事業に使用する場合であっても、それが利益を生み出さない活動や採算の取れないものである場合には、返済を継続することが困難となってしまいます。
また同様に、返済財源についても、その内容が妥当かつ現実的なものでなければなりません。
例えば、運転資金については多くのケースで、今後の売り上げで返済するとなっていることが多いですが、現状で売上が不足して運転資金が足りないのであれば、この説明だけでは信憑性がないため、「なぜ売上げを上げられるのか?」や「そのために、どのような手段をとるのか?」を説明できる必要があります。
金融機関では、とくにこの2点について納得が得られるまで本人からヒアリングをしたり、必要な資料を分析して判断することになりますが、十分な理由や計画がない場合には追加融資を受けるのは難しくなります。
信用情報に問題がある
金融機関では代表者について 信用情報を確認し 問題がないかをチェックします。
信用情報には①株式会社シー・アイ・シー(CIC)②株式会社日本信用情報機構(JICC) ③全国銀行個人信用情報センター(JBA)の3種類がありますが、事故情報については共有されているため、どれか一つの機関で事故情報が登録された場合はすべての機関での利用が制限されることになります。
また金融機関では代表者だけでなく 平取締役についても 信用情報を確認することがあり、その場合は代表者以外の役員について問題がある場合も融資を行いません。
このように 代表者( 場合によっては 元の取締役を含む)について 信用情報上の問題がある場合は融資を受けることができなくなります。
税金の未納がある
税金の支払いは国民の義務となっているだけでなく、税金の未納債務があると企業が倒産した時に優先的に国等へ支払われてしまうため、金融機関ではとくにその有無を警戒しています。
対象となる税金の種類としては、消費税、法人税、住民税、法人住民税、事業所税、固定資産税などありますが、年金や健康保険の未納などはあまりチェックの対象となりません。
なお、税金の納付の確認は納税証明書の提出をさせることで行います。
金融機関によってどの種類の納税証明書を提出させるかはまちまちとなっていますが、法人については納税証明書のその3(未納税額がないことの証明)やその3の3(法人税、消費税・地方消費税の証明)を求められることが多いといえます。
このように金融機関では税金の納税についてかなり厳しくチェックしているため、いずれかの税金について納税ができていないような場合には、融資は確実にお断りとなります。
追加融資が受けられない場合の対応策
追加融資が利用できない場合でも、以下のような対策を行うことで資金繰りを楽にすることができ、追加融資を受けたのと同じような効果を得ることができます。
他の金融機関に融資を申し込む
追加融資をするかどうかの判断は金融機関ごとに行われます。
そのため既存の融資を受けている金融機関で追加融資を断られたとしても、他の金融機関から融資を受けられる可能性があります。
政府系の代表的な金融機関としては日本政策金融公庫がありますが、それ以外にも国の機関である信用保証協会付きの保証融資(制度融資を含む)なども利用することができます。
これらの機関は独自に審査を行っているため、現在の金融機関で追加融資が受けられない場合でも、新規の融資を受けられる可能性は十分にあります。
したがって、現在、プロパー融資しか利用していないという企業については、日本政策金融公庫と保証付融資の両方を、日本政策金融公庫か保証付融資のいずれかを使っている企業であればもう片方の機関に融資を申し込むことで追加の資金を得られる可能性があるだけでなく、新たな金融機関との取引実績を積むことができるようになります。
リスケジュールを申し出る
リスケジュールとは、借入当初に約束をした返済条件を変更することをいい、通常、経営不振に陥った企業が金融機関に申し出ることで行います。
リスケジュールは支払いの未納や延滞などと異なり、金融機関の同意を得た上で行う新たな契約となるため違約金などのペナルティーは発生しません。
以前はリスケジュールを行うにはすべての金融機関の同意が必要となるなど高いハードルがありましたが、現在では金融庁の指導によりどこの金融機関でもリスケジュールに応じてくれるようになっています。
一般的なリスケジュールでは、例えばそれまで毎月30万円の元本の支払いをしていた企業が当面の間、毎月の支払額を5万円にするというように支払う元本額を少なくする形で行いますが、利息について免除や減額などをすることはできないため、利息についてはそれまでと同じように支払う必要があります。
なお、リスケジュールは金融機関との契約にもとづいて行うものとはいえ、当初の約束を破って金融機関に不利となる契約の変更をするため、次のようなデメリットが生じます。
リスケジュールが解消するまでの間は、追加融資が受けられなくなる
- 金利が高くなることがある
- 信用情報機関にリスケジュールの事実が登録されることがある
- 保証付融資を利用している場合には、計画の見直や延期をするごとに保証料が発生する
- 元金の支払いを減額するため、その分完済までの期間が延びる。また、利息の支払い総額も増える。
このようにデメリットが多くありますが、大幅に資金繰りを改善することができるため、追加融資を受けたのと同じような効果が得られます。
既存の融資の一本化し、低利の融資へ借り換える
既存の融資を一本化し、低利の融資へ借り換えることで返済額を減らし、資金資金繰りを楽にすることができます。
ただし、この場合には単に複数の融資を一本化するだけではなく、それとともに返済期間を伸ばさないと目先の支払い額に大きな差が出ません。
したがって、融資の返済負担を減らすためには、金利の低い融資や一本化するだけでなく、現在よりも返済期間を伸ばしてもらう必要があります。
なお、日本政策金融公庫や保証付融資のいずれにおいても、融資を一本化することは可能ですが、乗り換え先の融資にはそれぞれについて一定の業種や用途等の条件があるため、その企業の状況にあった融資制度を利用する必要があります。
生業資金制度の利用
「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。
本貸付制度は、都道府県社会福祉協議会を実施主体として、県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となって実施しています。
低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯等世帯を対象に、それぞれの世帯の状況にあわせた各種資金の貸付け等を行っています。
このうち更正資金に分類される「生業費」とは、低所得世帯に属する者又は障害者が生業を営むのに必要な経費のことをいい、低所得世帯については上限額580万円以内、据置期間6ヶ月以内、返済期間20年以内、金利年1.5%(連帯保証人なしの場合。連帯保証人ありの場合は無利子)という条件で貸し付けを受けることができます。
参考:https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/seikatsu/pdf/ichiran_20160128.pdf
また、事業には関係ありませんが、これ以外にも低所得者や障害者が利用できる資金として技能習得費や住宅の増改築等に利用できる福祉費、療養介護費などがあるため、これらを利用することで生計の維持に役立てることができます。
ただし、これらの貸付を利用するには一定条件を満たすことや、審査に通ることが必要となります。
まとめ
企業が経営を継続していく上で、追加融資はなくてはならない存在です。
しかし、最近ではコロナ融資の反動もあり、追加融資を受けることがより難しくなってきています。
そのような状況の中で希望する融資を獲得するには、金融機関の考え方や融資のポイントをつかみ、それに向けて対策や経営の改善をしていく必要があります。
とくに、決算書の内容の改善はまずはじめに行うべきものとなりますが、それ以外にも融資が受けられなくなる状況を作らないことや、積極的に事業計画書を作成して開示することなどが重要となります。
また、追加融資を受けられない場合でも、それと同じ効果を持つ借り換えやリスケなどを活用することで、資金繰りを楽にすることができます。

